ロシアW杯より藍をこめて

サッカー日本代表・ロシアW杯への道程・藍は日本代表ユニフォームの色をイメージ
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Act.28 【日本は予想外に強く、そして世界は予想通りに強かった】

ルカクがスルーした!と思った瞬間、後ろから走りこんできたシャドリに逆転弾を打ち込まれた。あっという間の出来事だった。

日本対ベルギー。これは、後半のアディショナルタイムに得た日本のコーナーキックから始まった。左から蹴るのは本田圭佑。後半最後のチャンスと思われた。左足で蹴る本田のボールはゴールマウスから離れるような弧を描く。コロンビア戦での大迫のゴールが頭をよぎった。

しかし、このパンチングすべき軌道のボールをキーパーのクルトワは当たり前のように前に出てしっかりキャッチし、直ぐにデブルイネにハンドパスした。それを受けたデブルイネは猛烈なスピードで上がっていき、右サイドのムニエにパス。そしてムニエからグラウンダーのクロスが入り、それをルカクがスルーして背後に走りこんできたシャドリが左足でゴールに流し込んだ。わずか数秒間の出来事だったが、この一連の流れは全て予定されていた事をその通り実行したように見えた。日本は開幕直前に行われたスイス戦でも似たような速攻で失点しているので、狙われていたのかもしれない。

前半は押し込まれてはいたものの、日本とベルギーとの差はさほど感じなかった。個の力が強いベルギーに押し込まれるのは当然であるが、日本は組織で守り、サイドを主とした攻撃も悪くなかった。0-0で終わり、必ず後半にチャンスが訪れると思わせる様な前半だった。

後半の早い時間に2点も先制したのは驚きのあまりに卒倒しそうになった。そして調子に乗り、「ベルギー組みしやすし!」などと思ってしまった。しかしそうはならなかった。

明らかな差を感じたのは後半、日本が2点を先制してからだ。ベルギーはメンバー交代でフェライ二とシャドリが出てきて2バックの様にも見える超攻撃的なシステムに変更し、試合の流れが一転した。

シャドリは身体が大きく足が速いので、酒井を悩ませたが、問題はフェライ二だった。フェライニも体が大きく、身体能力が高い選手だ。このデカい選手が良く動き回り、アザールとデブルイネと共に中盤を支配した様に見えた。どうしてこういう事になるのか見ていて良く分からなかったが、恐らくポジションの取り方が上手いのだろう。日本は捉えどころがない彼らをケアできず、幾度かの決定機を作られた。日本も合間にチャンスを作ってはいたが、ベルギーに得点されるのは時間の問題と思わせるような嫌な雰囲気になった。

本来、少なくとも1点返された時点で日本のベンチはフェライニを含む相手の中盤に対して何か手を打つべきだったと思う。しかし、2か月前に監督に就任した西野監督にとって、対応策と言うべき選択肢もこの状況に出せる選手もいなかったのだろう。やはり決定打を作り出せるスーパーサブが欲しかった。

ベルギーの状況に応じての対応力は、やはり世界のトップレベルであると思った。誰が出ても同じような内容を異なったテイストで実行できる。そして状況に応じて的確に対処する。確かに日本はベルギーを追い詰めた。同点になってからの両者の攻防は見応えがあった。しかし、結果としては惜しかったとはいえ、ほんの少しの差がとてつもなく大きいものに感じた。引き出しの数が違い過ぎる。

さて、試合としてはこの4戦目もグループリーグ同様、全く予測不可能な試合展開で非常に面白かった。まさか今回のW杯でこれだけ日本の試合で楽しめるとは思ってもみなかった。日本は予想外に強く、そして世界は予想通りに強かった。日本の活躍で、サッカーは団体戦であるという当たり前のことを再認識させられた。つまり、どのような弱点も11人で補うことが可能なのだ。

選手インタビューでほとんどの選手が顔をゆがめて「悔しい」という言葉を口にする中で、長友選手だけは「負けて悔しいが全て出し切ったので悔いはない」と清々しい感じだった。彼にとって前回のW杯がどれほど悔しく惨めだったか想像に難くない。ベスト8の壁はまだまだ高いが、どうやら日本代表は「悔しさ」のポイントが高いレベルにステップアップした様だ。




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