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ロシアW杯より藍をこめて

サッカー日本代表・ロシアW杯への道程・藍は日本代表ユニフォームの色をイメージ
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Act.28 【日本は予想外に強く、そして世界は予想通りに強かった】

ルカクがスルーした!と思った瞬間、後ろから走りこんできたシャドリに逆転弾を打ち込まれた。あっという間の出来事だった。

日本対ベルギー。これは、後半のアディショナルタイムに得た日本のコーナーキックから始まった。左から蹴るのは本田圭佑。後半最後のチャンスと思われた。左足で蹴る本田のボールはゴールマウスから離れるような弧を描く。コロンビア戦での大迫のゴールが頭をよぎった。

しかし、このパンチングすべき軌道のボールをキーパーのクルトワは当たり前のように前に出てしっかりキャッチし、直ぐにデブルイネにハンドパスした。それを受けたデブルイネは猛烈なスピードで上がっていき、右サイドのムニエにパス。そしてムニエからグラウンダーのクロスが入り、それをルカクがスルーして背後に走りこんできたシャドリが左足でゴールに流し込んだ。わずか数秒間の出来事だったが、この一連の流れは全て予定されていた事をその通り実行したように見えた。日本は開幕直前に行われたスイス戦でも似たような速攻で失点しているので、狙われていたのかもしれない。

前半は押し込まれてはいたものの、日本とベルギーとの差はさほど感じなかった。個の力が強いベルギーに押し込まれるのは当然であるが、日本は組織で守り、サイドを主とした攻撃も悪くなかった。0-0で終わり、必ず後半にチャンスが訪れると思わせる様な前半だった。

後半の早い時間に2点も先制したのは驚きのあまりに卒倒しそうになった。そして調子に乗り、「ベルギー組みしやすし!」などと思ってしまった。しかしそうはならなかった。

明らかな差を感じたのは後半、日本が2点を先制してからだ。ベルギーはメンバー交代でフェライ二とシャドリが出てきて2バックの様にも見える超攻撃的なシステムに変更し、試合の流れが一転した。

シャドリは身体が大きく足が速いので、酒井を悩ませたが、問題はフェライ二だった。フェライニも体が大きく、身体能力が高い選手だ。このデカい選手が良く動き回り、アザールとデブルイネと共に中盤を支配した様に見えた。どうしてこういう事になるのか見ていて良く分からなかったが、恐らくポジションの取り方が上手いのだろう。日本は捉えどころがない彼らをケアできず、幾度かの決定機を作られた。日本も合間にチャンスを作ってはいたが、ベルギーに得点されるのは時間の問題と思わせるような嫌な雰囲気になった。

本来、少なくとも1点返された時点で日本のベンチはフェライニを含む相手の中盤に対して何か手を打つべきだったと思う。しかし、2か月前に監督に就任した西野監督にとって、対応策と言うべき選択肢もこの状況に出せる選手もいなかったのだろう。やはり決定打を作り出せるスーパーサブが欲しかった。

ベルギーの状況に応じての対応力は、やはり世界のトップレベルであると思った。誰が出ても同じような内容を異なったテイストで実行できる。そして状況に応じて的確に対処する。確かに日本はベルギーを追い詰めた。同点になってからの両者の攻防は見応えがあった。しかし、結果としては惜しかったとはいえ、ほんの少しの差がとてつもなく大きいものに感じた。引き出しの数が違い過ぎる。

さて、試合としてはこの4戦目もグループリーグ同様、全く予測不可能な試合展開で非常に面白かった。まさか今回のW杯でこれだけ日本の試合で楽しめるとは思ってもみなかった。日本は予想外に強く、そして世界は予想通りに強かった。日本の活躍で、サッカーは団体戦であるという当たり前のことを再認識させられた。つまり、どのような弱点も11人で補うことが可能なのだ。

選手インタビューでほとんどの選手が顔をゆがめて「悔しい」という言葉を口にする中で、長友選手だけは「負けて悔しいが全て出し切ったので悔いはない」と清々しい感じだった。彼にとって前回のW杯がどれほど悔しく惨めだったか想像に難くない。ベスト8の壁はまだまだ高いが、どうやら日本代表は「悔しさ」のポイントが高いレベルにステップアップした様だ。




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Act. 27 【決勝トーナメント進出にあたり、最高の状態を手に入れた日本代表】

事実は小説より奇なり。思わずこのベタな言い回しを使いたくなるようなグループリーグだった。漫画でもこんなストーリーは描かないのではないか。全く笑えるくらい想像の範囲外だ。そんな試合が3試合も続いた。

いきなり相手が10人となったコロンビア戦。先制され、追いつきまた点を入れられ、そしてまた追いついたセネガル戦。そして、「負けられない戦いがそこにある」というテレビ局が使うチープなコンセプトを見事にぶち壊したポーランド戦。負けてもOKな試合があったとはね。

このポーランド戦で日本が最後の十数分間行ったプレーに関しては、相変わらずの韓国を筆頭に国内外から非難の嵐である。しかし、これは主観の問題だ。僕も他国がこのような試合をしたら文句を言ったかもしれないが、我が日本代表の事となるといきなり意見は180度変わってくる。

『グループリーグは3話完結の物語。ルールが許す範囲で総合的に考え、最大の結果が出るように博打を打ち、そして成功した。何が問題なのだろう。この様な采配した監督の度胸に感服する。そもそも、やれ時間稼ぎだやれシミュレーションだと、勝つために手段をいとわないような連中に言われたくない。特にグループリーグで1番イエローカードが多かった国には。スポーツマンシップを語るなら、まず自分たちを鏡で見てみろよと言いたい。やはり狩猟民族は常に戦いを見たいのだ。彼らに、農耕民族の「周りの状況をよく見て、長い目で最善の方法を考える価値観」は分からないだろう。その場が良ければ全て良し、というものではない。子供に「いい試合だった」と言えないだと?何をかいわんやだ。勝つために前に出るだけが人生の全てではない事の良い教訓になる、教育上最も素晴らしい試合だったではないか…』

という具合に。

もっとも試合内容に関しては、交代メンバー同士の連携もチグハグで守備もハマらず、どちらかと言えばいつもの負けパターンに近かった。要するに決して褒められた内容ではなかった。しかし、主力を休ませることが出来て、しかもそれほどハードな試合でもなかったので、日本は考えうる1番良い状態で決勝トーナメントに進むことが出来たといえる。過去にグループリーグを突破したときとは明らかに状況が違う。

ベルギーには、もしかしてデオンティ・ワイルダー(現WBCヘビー級チャンピョン)さんですか?と思わず問いたくなるような、ルカクという怪物FWがいる。アザールもいる。デブライネ、メルデンス…とスター選手揃いだ。まさか今大会でこういう国とガチンコの試合を見られるとは感慨深い。グループリーグ同様、僕らの想像を超えた展開を期待したい。



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Act.26 【サッカーがアイデンティティの国々】

アルゼンチンはクロアチアに負けて大混乱の様だ。「あいつが悪い、こいつのせいだ」等々、世論もさることながら、チームとしてのまとまりもどこかへ消し飛んだ状態とメディアは伝えている。しかし、アルゼンチンは前半だけ見ればそれほど悪い試合をしていなかった。それが後半、GKカバジェロのミスがきっかけで、全て悪い方へと展開してしまった。まるでサンチェスの一発レッド事件の様だ。「試合の流れ」というのは恐ろしい。

アルゼンチンやブラジルをはじめとして、南米でW杯に出てくるような国は、サッカーがまるで国のアイデンティティの様になっている。そんな国では、W杯のような大きな大会で妙な負け方をすると、我々の想像を絶する非難が巻き起こる。その国の経済にも影響するかもしれない。

そういった国に比べると、高齢化社会で野球世代が人口の半分以上を占める日本は、殆どの人がW杯には関心を向けてもサッカーそのものが文化として根付いてはいないせいか、例え情けない負け方をしても社会全体が同じ方向を向いて一斉に非難するようなことはない。

ヴィッセル神戸に来たポドルスキーが「日本では、サッカー界を取り巻く環境が整っているわりには、国民からあまり興味を持たれていないように感じる。実際、メディアへの露出を見ても、野球や相撲のほうが定着してからの歴史が深いからか、そちらにエネルギーが注がれてしまっている。例えば昨年、浦和レッズがACLでチャンピオンになった時でさえ、新聞ではその偉業がさほど大きく扱われていなかった。この事実を日本サッカー界は真摯に受け止め、考えていくべきだと思う。」と語っていたが、その通りである。

ジムのサウナに行けば、定年退職した人たちが「コロンビアとか南米は個人技がすごいだろ。日本が勝てるわけねェだろう」等と通り一辺倒の意見しか交わさない。一方、野球の話になると「あそこで何故あの球を投げたのかな」と突然玄人はだしのディティールの話で盛り上がる。ごく自然に。

考えてみれば、そういう日本が南米の一国であるコロンビアに勝ったのだから、この勝利の余韻は十二分に楽しまなければ損だと思う。余談だが、数年前にナデシコがW杯で優勝したのはそう考えると物凄いことだ。文化どころか、当時はまだ女子スポーツとしてまともに認知もされていない国が勝ったのだから。

アイスランドの選手は他に仕事を持っている人が殆どだという。まるで野球のWBCにおけるオランダやイタリアチームの様だ。しかし、シンプルで強いサッカーを展開している。育成など、自国の環境の中で工夫をしている成果だという。

よくサッカー関係者が、日本サッカーが強くならない理由として「日本にはサッカー専門の競技場が少ない。ボールが蹴れる芝生の運動場が少ない」等と言っているが、これは水泳関係者が「日本には100m直線で泳げるプールが少ない」、あるいはゴルフ関係者が「日本には大きくて安い練習場が少ない」と言うのと同じことだ。酷い意見になると「日本は南米と比べるとハングリーな環境がない」などと言う人もいる。経済大国の日本を戦前に戻せとでもいうのだろうか。日本は経済的に豊かであり、サッカーだけがすべての国ではない。そういう日本固有の環境の中で強化を考えるべきであり、無いものや既にある環境を嘆いても仕方ない。

野球世代の僕としては「日本はサッカーだけの国ではないが、サッカーも強い国」になることが理想だと思っているが、そんなに甘いものではないかな。



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Act.25 【歓喜!コロンビア戦・雑感】

開始わずか3分。コロンビア選手が一発レッドで退場となり、その上点も入って、日本にとって、いや双方にとって想定外の展開となった。サッカーは本当に何があるかわからない。

日本は「これ以上は考えられないだろう」というくらい良い試合の入り方をしたわけだが、何故か不安は払拭できなかった。フィールドプレーヤーが1人減っても、減った方が勝った例はいくらでもあるし、逆に日本のプランが狂ってしまい、何かチグハグなミスを犯すのではないかと心配になった。前大会のギリシャ戦の例もある。ましてやワールドクラスの攻撃陣を備えるコロンビアなら、何かを仕掛けてくるのではないか。一人減っても平然とシステムを変えて鋭い攻撃を展開するのではないか。そんな予感がした。

しかし、それらは杞憂であった。点も取られたし幾つかの危ない場面があったとはいえ、総じて日本選手は運動量が豊富で、尚且つ落ち着いていた。相手が引いていたこともあり、ピッチをワイドに使い、ボールを回すときは回し、縦に速くする時は早く、日本が得意にしているスタイルとハリルホジッチがやっていたスタイルを混ぜたようなサッカーを展開していた。特に後半、宿敵ハメスロドリゲスが登場してから、日本は余計に楽になった。彼は故障が癒えていないのか、全く走れなかった。走れないといえば、コロンビアは全体的に運動量が足りないように見えた。これはベスト4以上を目指すチームと初戦にかけるチームとのコンディショニングの差なのだろうか。

コロンビアメディアが「ハラキリだった」と報じたのはごもっともで、コロンビアは自滅したともいえるだろう。しかも、彼らのサッカーはとても日本対策をしてきたようには見えず、日本チームの大会前の連敗や監督交代劇などによって「システムがどうであれ、また誰が出ようが何とかなる相手。香川や本田あたりをマークしとけばいいだろう」程度に甘く見ていた感じがする。それが功を奏したのかもしれない。もちろん、運も味方した。

しかし勝負事に「運や目に見えない綾」があるのは当然である。勝利を呼び込んだ日本は、少なくともこの日だけはコロンビアより強かったと言ってよいと思う。右サイドのクアドラ-ドを長友が抑えてガッツポーズをしたシーンは爽快であった。

セネガルがポーランドを下したこともあり、これでグループHは予測不可能なグループとなった。ハリルホジッチの落とし込みが見られなくなり、W杯の面白さが半減したと思っていたが、初戦のコロンビアに勝ったとなると残り2試合の楽しみが倍増した。願わくば、グループリーグを突破してベルギー、イングランドというAクラスと戦ってもらいたい。




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Act.24 【サウジアラビアの惨敗に何を感じたか】

W杯が始まり、注目の開幕戦はロシアサウジアラビアに圧勝した。
ロシアのマンマークはプレスの強度が強く、パスの出しどころを潰されたサウジアラビアは、苦し紛れに出したボールを中盤でカットされ一気に前線に持っていかれてしまうという、最悪の状態を繰り返した。サウジアラビアの選手は3点目を取られると一気に活気がなくなり、デュエルも脆弱に。ロシアの策が見事にはまった試合だった。最後の方は、前回大会での日本対コロンビア戦を思い起こさせる様な嫌な気持になった。

サウジアラビアといえば、「すぐに監督を替える国」というイメージがある。一応アジア最終予選をB組2位通過した、アジアでは強豪国なんだけどね。既に首位突破が決まっていた日本にホームで1-0と勝利して3大会ぶり、5回目のW杯出場を決めた。しかしその後、指揮をとっていたファン・マルヴァイクが突然辞任してしまう。監督に関しては相変わらずのバタバタぶりだ。

ところで、ボロ負けしたサウジアラビアのスポーツ課の偉い人は、「我々は代表選手のために出来る限りをつくした。3年間にわたって彼らの出費をすべて支払い、彼らのために最良の監督団、世界レベルの監督を雇った。ところが彼らは要求されたことのわずか5%さえも遂行しなかった。」などの理由により、GKのアブダラフ・アリ・マイユフ、オフェンスのモハメド・アリ・サラウイ、ディフェンスのウサマ・ハヴサヴィの3選手に処罰を与えると語った様だ。

処罰ってなんだ?北朝鮮じゃあるまいし、恐怖で支配された選手は言われた事しかやらなくなり、最もサッカーに向かない集団となる。ラモス先生も「サッカーハタノシマナキャダメヨ!」と言っていた。その上、サウジアラビアの選手は海外で活躍している選手が非常に少ない。かつては国が選手の海外移籍に厳しい制限を設けていたが、この制限が緩和された後も、オイルマネーにより潤沢な資金を持つ国内リーグが高額な年俸で選手を雇うため、選手が海外に移籍したがらない。井の中の蛙状態だ。

潤沢なオイルマネーを育成につぎ込み、くだらない政治闘争や偉い人の趣向にサッカーを引き込むのは止めて、長期スパンで代表を考えれば可能性は広がるのに。まあ、各々の国固有の事情はあるにせよ、どこの国でも金を出す方は強い。サウジアラビアは当分強くなりそうもないな。
あ、他人ごとではないか。




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Act.21 【対戦国・ポーランドについて】


NHKは生放送・録画を含めてロシアW杯の全試合を放映する。近年W杯の放映権高騰が話題になっているが、その莫大な放映権料NHKがFIFAに払うことを考えると、その事にやや疑問を感じてしまう。というのも、民放が全く興味無しというのならともかく、どこの放送局もやりたくて仕方ない人気コンテンツを、資金力で圧倒するNHKが独占したかに見えるからだ。個人的には、強制的に受信料を徴収して未払い者に対して裁判を起こすような組織は、巨大な利権が発生する人気のイベントには関わるべきではないと思うのだけどね。そんな金があるなら受信料を安くするか、地道にドキュメンタリーなどを作った方が良い。

まあしかしそれはそれとして、全試合放映はやはりうれしい(自己中心的)。この際、硬いことは抜きにして素直に喜ぶことにしよう。これで3TBもあるワールドカップ専用外付けHDD録画機を買ったかいがあるというものだ。

ところで先日、そのNHKBSでポーランドサッカーの事を簡単に紹介していた。

日本人がポーランドといって即座に思い浮かべるのは、アウシュビッツ、ショパンとキュリー夫人ぐらいか。日本人にとってあまりなじみのある国ではないが、ポーランドは親日だと言われている。

ポーランドは18世紀末にロシア、プロイセン、オーストリアに分割され、独立を失ったが、粘り強く独立運動が続けられた。そんな彼らに勇気を与えたのが日露戦争における日本の勝利だった。日本がバルチック艦隊を破った時には、ロシア憎しのポーランド人は狂喜乱舞したそうだ。どうやらそのあたりが親日である理由らしいが、それにしても、歴史的にも地政学的にもいつも恐れを抱いている国、ロシアで開催される大会で、その日本と戦う事になるとは皮肉なものだ。もっとも、現在の日本のイメージは他のヨーロッパ諸国と同様に、「アニメ、オタク」等のイメージがあるだけかもしれないが。

W杯は実に3大会ぶり7度目の出場になるそうで、過去の最高位は3位が2回もある。監督はアダム・ナバウカというポーランド人。就任時FIFAランキング76位だったポーランドを5年で強豪国にした。一時は5位にまで上り詰めたというから、大したものだ。監督の指導が良いのか、はたまた選手の質が良いのだろうか。まあ両方か。現在は7位。FWにはレバンドフスキという絶対的エースがいる。予選で16得点はヨーロッパ大会で1位。身体はデカいが、強さだけではなく、柔らさとスピードを持ち合わせている。その上、シュートばかりではなくアシストも多く、視野が広いテクニシャンだ。

フォーメーションはそのレバンドフスキを1トップにした4-2-3-1。徹底したサイド攻撃が特徴。監督に言わせると、ポーランドの強みは組織力だそうだ。「強いフィジカルを生かして常にボールをキープしながら全体で攻撃を仕掛ける。ボールを奪われたら組織的な守備で相手を追い込む。」と誇らしげに語っていた。まあ簡単に言ってしまえば、殆どの国がそういうサッカーを目指しているのだろうが、予選10試合で28得点とは凄い攻撃力だ。説得力がある。

しかし人口4000万人にも満たない国が何故こんなに強いのだろう。ポーランドはロシアに近いのでサポーターも大挙して駆けつけるに違いない。初戦のコロンビア戦は嫌な予感がするのだが、最後のポーランド戦も良いイメージがどうしてもわかない。コロンビアの強さばかりフォーカスされているが、ポーランドこそ地味に強い感じがする。

第3戦はポーランドの一方的な弱い者いじめになるのか、日本のジャイアントキリングになるのか。とにかく試合はやってみなければわからない……う〜ん、いい言葉だ。そう思う事にしよう。




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Act.9 【ロシアW杯の意味】


あるサッカー雑誌に、セリエAに所属するチームの戦術アナリストが日本代表をブラジル戦、ベルギー戦の2試合のみを見て分析したレポートが載っていた。

日本代表の攻守の特徴、弱点や長所など細かな指摘が書かれており、たった2試合でよく的確に分析できたものだなと感心した。特にボロボロにやられたブラジル戦などは普通に考えると日本の良い面など出る隙間も無かった様に思うが、そのブラジル戦においても日本のストロングポイントを見出していたのは流石である。プロの分析官というのはこういうものか。

結論を簡単にまとめると、「日本は独力で局面を打開し決定的な状況を作り出す絶対的なクオリティを持ったトッププレーヤーはいないが、組織的な戦術の遂行能力の高さはそれをかなりの部分まで補うレベルに達している。ブラジルやベルギーなどW杯でベスト8に残るレベルの強国に真剣勝負で勝つには、絶対的な個のクオリティが不足しているが、ヨーロッパや南米の中堅国が相手ならば互角に戦えるだけの力は備えているかもしれない。日本代表は攻守両面共に監督が与えた明確なコンセプトに従って、非常に良くオーガナイズされた好チームだ」、という事だそうだ。

監督を含めて割と高評価なのには驚いたが、残念ながら韓国戦以来、日本ではコンセプトを与える側のハリルホジッチ監督に対する前向きな評価が少なくなっている。それどころか解任論を唱える人も結構いる。それは当然と言えば当然だろう。日韓戦という最も負けたくない試合で、采配らしい采配は皆無。それに加えて「韓国はワンランク上」と、まるであの酷い内容を容認しているかの様な試合後のコメントだ。あまりに淡泊なので、もしかしたらW杯に向けて手の内を見せまいとする策略なのだろうか、とも考えてしまう。

中学生体育連盟が発表している各競技の生徒数は、2013年頃からサッカーが野球を追い抜いそうだ。日本サッカーの底辺は広がりを見せているのかと思わせるが、しかし子供の競技人口の推移をよく見ると、サッカーは野球を抜いたとはいえサッカーも2013年頃から野球と共に下降気味になっている。もはやバスケットやテニス、卓球人口と変わらない。一説によると、樹木保護や騒音防止の理由で、ボール遊びを禁止にしている公園が多くなったことが要因らしいが、やはり少子化の影響が一番大きいようだ。ある市場調査によると、卓球やバトミントン、テニスなど個人競技が国際大会で結果を出し始めていて、特に少子化が著しい地方では個人競技に生徒が流れ、チームを維持できずに野球やサッカーなどチームスポーツが廃部となる学校が続出しているという。

昨年引退した宮里藍がLPGAで優勝した時、ゴルフの打放し練習場へ行くとやたらに女子ジュニアが目に付くようになった。やはり、世界に通用する強い競技にこそ注目が集まるというものだ。もはやサッカーは「世界的人気のスポーツ」という事のみで才能ある子どもや金が流れ込んでくる時代ではない。強くなければダラダラと衰退する。ハリルホジッチ監督はアルジェリアで見せたようなサッカーを日本代表で再現してくれるのだろうか。来年のW杯の内容次第では、日本サッカーに厳しい冬の時代が到来するかもしれない。


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Act7. 【ワールドカップ組合せ抽選会】

スペインが「ポッド2」に入って話題になったW杯組み合わせ抽選会が昨日行われ、日本はグループHとなった。

グループH : ポーランド、コロンビア、セネガル、日本

スペイン、ブラジルと同組になったら「死のグループ」どころか「即死のグループ」になるところだった。とはいえ、イングランドやメキシコ、ウルグアイ、クロアチアもポッド2なので、どのグループもポッド4の国には非常に厳しいことには変わりはない。

どうせやるならベルギーやドイツなどビッグな大物との試合を見てみたい気もするが、もしボロクソにやられてしまったら2018年の後半をずっと不愉快な気分で過ごすはめになるので、まあ日本にとって少しは可能性があるグループに入ったのかな、と考えることにした。

ポーランドはポッド1の国の中では一般的な印象が薄いかもしれないが、僕には昨年行われたユーロ2016を思い出させる。ポーランドは優勝したポルトガルと準々決勝で戦い、むしろ圧倒しながらもPK負けをした。その試合を見る限り、粘り強い堅実なサッカーでポルトガルを苦しめたタフなチームという印象がある。レバンドフスキばかりではない。昔のギリシャのように皆が献身的で良く走り、諦めない。ランキング7位は伊達ではないだろう。

ところで、ポーランドのスポーツ紙「プルゼグラド・スポルトウィ」は、日本を「アジア最高のチーム、アジアで日本よりも成功を収めている国はない」と高く評価し、強化プランや代表チームの現状などを詳細にレポートしていた様だ。

同紙は「グループの状況に関わらず、日本との対戦は我々にとってあまりにも簡単とみなすべきではない。彼らは常に自分たちのプレーを見せ、あらゆる面で最大限の集中を発揮する。武士道は日本で生まれ、文字だけではないサムライの古い手本だが、まだ文化や選手たちの態度に大きな影響を与えている。そこでは誇りが神聖なものであり、日本人が諦めることはない」と、日本の文化的背景に触れながら、侮れない相手であることを説いた。

困ったものだ。全く警戒しないで舐めてかかってくれた方が日本にとってチャンスが広がるのに、ここまでリスペクトされてはチャンスが全く無くなってしまうではないか。僕の理想は、レバントフスキに日本のDF陣を一人で突き破る鋭いパフォーマンスを見せてもらい、その上で日本が勝利することである。…ってそんな調子のいいことあるわけないか。

いずれにしろ日本が対等の試合をするには、スカウティングによる戦術が相手に勝った時だろう。2014年W杯のドイツ対アルジェリアを彷彿させるハリルホジッチ監督の手腕に期待したい。


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Act.4 【W杯のアジア出場枠は増えるのだろうか】

香川真司はキリンカップのニュージーランド戦の後、「果たしてこれがワールドカップに向けて、何の意味のある試合なのか。ワールドカップを見据えるって意味では、こういうレベルはないと思う。」などと語っていたという。

香川選手の真意のほどはともかく、確かにW杯は世界の地域代表がしのぎを削るハイレベルなサッカーが見られる大会だ。勿論、欧州チャンピョンズリーグ等と比較するとサッカーの総合レベルという意味においては、プロクラブ同士が対決するCLの方が上かもしれない。しかし、国の代表はその国の選手のみで構成しなければならない為、その国の特徴を見る事ができる。したがって自分たちの特色を出しつつ少ない持ち駒で手強い相手にどのような戦い方をするかなど、見どころ満載である。

現在のところ既に出場を決めている国は開催国のロシア、ブラジル、イラン、サウジアラビア、日本、ベルギー、ドイツ、イングランド、スペイン、ナイジェリアなどであるが、まだの25枠が未決定である。

予選において最も厳しいとされているのは何といっても欧州予選だろう。ベルギーは組み合わせに恵まれた感もあるが、熱戦が続く欧州予選で早くも出場を決めた実力は前回のW杯以上かもしれない。

欧州予選は52チームが9グループに分かれて戦うが、各グループ首位の9チームが本大会出場決定となる。そして各グループ2位の9チームの中、上位8チームがプレーオフを行い、4チームが出場決定となる。強豪ぞろいの欧州にあってはしびれる戦いの連続だ。例えばスペインとイタリアは同じ組になっているが、この世界に名だたる強豪国でもどちらかがプレーオフに回ることになる。
各地域・大陸の出場枠数は各大陸連盟に加盟している国・地域の数と各大陸のサッレベルに応じて割り振られている。そのため、W杯での成績に応じて変動するのだが、現在の枠は、欧州・南米>北中米カリブ海・アフリカ・アジア>オセアニア、の順になっている。中でも圧倒的に人口が多いのはアジアとアフリカだ。

1998年のフランス大会後、AFCの会長が「南米は10か国しかないのに出場枠が半分の5もある。アジアは46の国と地域、人口も全人類の約半分もあるのに枠が2もしくは3しかないのは不公平だ。これが改善されないなら、アジアサッカー連盟はワールドカップに参加しない」とFIFAの会議上で猛然と抗議をしたことがあった。

しかし、これに対して南米から「南米は本大会に5か国出場したが、そのうち4か国がグループリーグを突破し決勝トーナメントに進出している。対してアジアは、4か国(日本、韓国、サウジアラビア、イラン)が参加したのに全てグループリーグで敗退している。レベルを無視した要求は受け入れられない。何もアジアが無理に参加しなくてもワールドカップの競技水準は保たれるだろう」と反論されてしまう。

実力を言われてしまうと、サッカー弱小国揃いのアジア諸国は「御説ごもっともでございます」と頭を下げるしかないだろう。例えば、世界中の国々を地域に関係なくランダムにいくつかの予選リーグに分けてしまうと、日本はおろか、アジア諸国のW杯出場のチャンスは一気に厳しいものになってしまう。

結局、FIFAは南米の出場枠を0.5削る代わりにアジアの出場枠を0.5増やすといった案を取り入れたが、ドイツ大会でAFC加盟国が1つもベスト16以上に進出しなかったことにより、アジアの出場枠が4.5から3.5に減らされるそうになった。ところが、AFCはオーストラリアがアジアに転籍したことをFIFAに訴え、4.5枠の維持が決まったそうだ。全くもって大甘な話だ。アジアにはアラブの大富豪がいて、巨大なマーケットが拡がっているからだろうか。

現在オーストラリアとシリアがプレーオフの最中だが(世界地図を見ると、この2国がどうして同じアジア地区なのか疑問はあるが)、オーストラリアがAFCに加盟してくれたおかげでアジア予選は随分と面白くなった。しかしそれでも、アジア枠が4.5ある現状はどう考えても甘すぎるように感じる。3.5枠程度に減らした方がアジアのレベルが上がって、将来的には良い結果に繋がるのではないか。「ドーハの悲劇」の時はたった2枠だったのだ。

例えば日本が初めてW杯出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」の時のように3.5枠とすれば、各組の1位のみが無条件でW杯出場が決定し、2位になった国同士が残り1枠を決める事になる。これはしびれるだろう。しかし、しびれる事をやらないと全体のレベルアップは望めない。グループリーグで「2位でもOK」と欧州予選のように「2位では×」では全く取り組み方が違ってくる。1試合当たりのプレッシャーも高くなり、最終予選はさらに必死の取り組みが予想される。

このままでは日本にとってワールドカップ出場は常に安易な道となりかねない。いくら「アジア予選はそんなに甘いものではない」と口では言ってみても、心の中では皆「出場して当たり前」と思っているはずだ。何しろ4.5枠なのだから。この事は日本が世界のトップを望むなら、将来的に良い結果を生むとは思えない。

しかし経済原理が働く近代スポーツの最先端を行くサッカーにおいて、FIFAは巨大マーケットのアジアを邪険には出来ないだろう。したがって、どんなに結果が悪くても、枠を減らす可能性は皆無なのかもしれない。それどころか、むしろ増やす方向なのだろう。何しろ地球上の3人に1人は中国人とインド人で、2人に1人がアジア人なのだから。



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Act.3【ボーオーラックホテルはFIFA幹部ご用達】

チューリッヒのボーオーラックホテルは五つ星の超高級ホテルだ。スイートルームの宿泊料は一泊数千ドルを下らない。アルプスの山々を望むチューリッヒ湖岸の広大な庭園に面しているが、金融中心部のパレード広場、有名なショッピング街のバーンホフ通りまで徒歩わずか数分という利便性も併せ持っている。数々の賞に輝いた2つのレストランやメンバー制のクラブを有しており、滞在中はバレーパーキング、リムジンサービス、1日2回もの清掃サービス、24時間対応のコンシェルジュサービス、ガレージでの車の修理や洗浄の利用が可能で、リクエストに応じて医療マッサージや理学療法の提供もあり、そのサービスの充実ぶりは一流の中でも別格なホテルである。宿泊したセレブの評判もネットで見る限り誉め言葉であふれている。

2015年5月、FIFA幹部が10人以上収賄容疑で逮捕されるという大スキャンダルが起こった。この一大逮捕劇は、FIFA幹部がボーオーラックホテルに宿泊しているときに行われた。やはり金満FIFAの幹部ともなれば、この様な高級ホテルを利用するのは常の様だ。逮捕された幹部がパトカーに乗り込むときも、ホテルのスタッフが真っ白で糊のきいたシーツをカーテンのように広げて報道陣の目からFIFA幹部を守り、そのサービスぶりを発揮したものだ。

ところで、ロシアワールドカップはケチの付き通しという印象がある。

近年ロシアと言えばウクライナ問題を思い起こすが、ロシアと対立する反露意識の強い一部の欧米西側諸国にはロシア開催に反対する意見が根強く、ウクライナ問題をきっかけにボイコット話が持ち上がり、ロシア開催の雲行きが怪しくなったことがあった。
それが落ち着いたと思ったら、今度はこの大スキャンダルだ。この逮捕劇のおかげで2018年のロシア大会の決定過程にも疑惑の目が向けられ、ロシアが2018年にワールドカップの開催国になれるかどうかが微妙な雰囲気が漂った。通常、開催国決定に関して最も影響力のあるのはFIFA視察団が立候補国を現地調査して提出するレポートだそうだが、2018年開催国決定のためのレポート評価はロシアが全体で2番目に低く、さらに2018年の4候補の中では最下位だった事もこの疑惑に拍車をかけた。

この逮捕はアメリカ主導で行われたが、プーチン大統領は露骨に不快感を表し、アメリカによる逮捕は国際法違反ではないかと批判した。ワールドカップに向けてのスタジアム建設やインフラ整備のコストは莫大だ。現在、クリミア問題で西側諸国から経済制裁を受けエネルギーの輸出価格も下落傾向にあるロシア経済は、あまり良好とは言い難い。よって、ワールドカップによる投資や観光客の増大に期待しているわけだが、これに横槍を入れられるのは我慢がならないだろう。ましてやウクライナ問題で対立しているアメリカにそれをやられるのは、奴らの陰謀か?と勘繰りたくもなるだろう。

アメリカの当局が外国籍を持つ人物を起訴する場合、被疑者の犯行がアメリカと関連していることを証明する必要がある。今回の事件の場合、賄賂の受け渡しやマネーロンダリングなどが全てアメリカ国内で行われていた為、それはスムーズに行われたそうだ。まあアメリカにとってみれば、2018年や2022年のワールドカップがどうなろうと何の痛手にもならないので。

我々には真相のほどを知る由もないが、W杯誘致には絶えず大金が飛び交うキナ臭い噂や政治的な生臭い話が飛び交うものだ。巨額マネーが動く世界では色々な思惑が働くのは道理だろう。しかし、今まで大会ボイコットなど致命的なことにならなかったのは、基本的には皆サッカーが好きであり、裏でウインウインの解決を模索したからなのだろうか。

ワールドカップを身近で見たいのはどの国も同じだろう。とにかくワールドカップそのものを盛り下げる本末転倒な行為だけは避けてほしいものだ。



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